2014年12月23日

仙台市青葉区G様邸

yuka01.jpg

★RC造高層マンションにお住まいのG様から、ご相談のメールが来ました。お子さんがにぎやかな為隣近所が迷惑なのではないかと以前から懸念されていらして、お隣から音や声がかすかに聞こえているので、こちらからはかなり聞こえているだろうと。心配ばかりしていると精神衛生上よろしくないのでなんとかしたいと。でも、このような環境はごく当たり前にある環境かも知れません。G様のご主人は住宅関係の役所の方。色々とお話させて頂きましたが、ご主人も奥様もさすがに住宅に関心がおありで、普通とちょっとだけ違うのが構造や性能を重視されている様子でした。また、北側の共同廊下側の2室の窓が大変結露が発生していてじめじめしていてカビ臭いということから、断熱と防音を兼ねて樹脂の内窓を設置となりました。そんなわけで今回防音工事を行うこととなりました。
■設定性能は、壁は現状よりも40db減音で▲80db。リビングの床は現状よりも12db減音で▲60db。という仮定で防音の構成を考えています。

◎今回は下記の内容で防音工事をいたしました。
・リビングの界壁側の壁に防音施工・クロス仕上げ
・リビングの床に防音施工・既存のカーペット再利用
・子供室の壁に防音施工・クロス仕上げ
・子供室(北側)に内窓設置
・書斎室(北側)に内窓設置


■リビングの床です。
既存のカーペットを剥がし、その下にあるフェルトを剥がしています。長年使用しているのでフェルトの厚さはかなり薄くなっています。ということは新築時よりも防音効果が落ちているということになります。
yuka01.jpg

■既存のカーペットとフェルトを剥がしてスラブ表しの状態です。周囲のソフト巾木の下に見える木材は金属のとげとげの付いたもので、これでカーペットを固定しています。
yuka02.jpg

■新しいフェルトを敷きこんだ状態です。
この下に遮音シートを敷きこんであるのですが、写真を撮り忘れてしまいました。すいません。
この上に既存のカーペットを「グリッパー」という器具で引っ張りながら敷き込みます。
yuka03.jpg

■壁の防音です。
遮音シートを木材で押えながら張り付けます。
この木材は単なる下地材ではなくて、「背後空気層」という防音には重要な役割を持つ部分です。これがあるのとないのと、高さにより防音の効果や内容が変わってきます。防音構造を理解されていない工務店さんだとこの辺はわかりません。
kabe01.jpg

■背後空気層を保持しつつ下地材を取り付けます。
kabe02.jpg

■上で取り付けた下地材の間に吸音材をはめ込みます。奥に見える黒いのは遮音シートです。もちろんこの部分にも吸音材を入れます。
この吸音材は直径8ミクロンのガラス繊維で80kg/m3の密度があり、厚さ25mmを2重に重ねて50mmとしています。
実は建築業界でたくさん建物を建てているビルダーさん、一級建築士さん等の方々でも、グラスウールの繊維の太さに種類があるとか、その太さで断熱性能や吸音性能が違うというのを理解されている方はかなり稀です。また、グラスウールに96kg/m3という密度が存在していて、どんなところに使うかを知っている人は住宅専門の設計士さんにはほとんどいません。理解していない方は10kg/m3で防音できるとか16kg/m3なら大丈夫とかと誤解されています。断熱材の10kや16kは実は10kg/m3ないので防音には向かないのです。高断熱高気密高級住宅で超有名な某ハウスメーカーさんも1階の天井裏にロックウールを入れていれば大丈夫と大きな勘違いをしています。お客様には「断熱材を入れているからこの程度の音で済んでいるのですよ」とかといってごまかしているようですが。(本気で言っているのかも??)
因みに当社は某日本でトップクラスに売り上げているハウスメーカーさんから騒音測定診断を依頼されて測定診断を行っています。(お施主様からのクレーム対応で)。完成してからでは対応や改善は難しいですけどね。
kabe03.jpg

■その上にPB(石膏ボード)12.5mmを貼ります。PBには12.5mm厚の他に9.5mmがありますが、厚いほうが遮音効果があります。また、ジョイントが少ない方がいいので、今回はサンパチ板(3尺×8尺)で横のジョイントをなくしています。内容によっては12.5mmを二重張りすることもあります。
上から見てくるとわかりますが、防音構造は部材の性能もさることながら、順番や寸法が関係してきます。ただ既製品を取り付ければよいというものではないので、目的や環境に応じた設計が必要になります。因みに某有名建材メーカーの高級防音ドアを使用したことがありますが、カタログ性能は36db減音するはずなのに、測定してみると18dbしか減音していませんでした。高価なのに。それ以来使っていません。もっと安くて効果が大きい木製ドアを使用しています。
kabe04.jpg

■PBの上に既存のクロスに似たクロスを貼って、床との取り合いにソフト巾木を取り付けて壁は完成です。コンクリートの梁が大きく出ていたのでその中に100mmの厚さ防音壁を設置したというものです。仕上がりははじめからそうだったような違和感のない仕上がりとなりました。
kabe05.jpg

■結露のひどい北側の窓です。
アルミサッシの単板ガラスなので結露は必然です。冬などはガラスとサッシの表面温度差が20度以上になり結露しない方がおかしい状況です。冬や梅雨時は頻繁に結露水のふき取り作業が必要です。
sassy01.jpg

■既存のアルミサッシの内側に樹脂サッシの内窓を取り付けました。今回は単板ガラスw使いましたが、他にペアガラス仕様もあります。状況により判断します。これで結露も無くなり、共同廊下を通行する人の声や足音も聞こえなくなります。
sassy02.jpg
posted by とむす at 18:21| Comment(0) | 防音
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: